黄ばんだ紙切れ

Flower Art Film ’TWILIGHT’の感想

 

 

先日公開された映像作品、'TWILIGHT'に対してコマ送りでひたすらコメントと惹かれるところを羅列するエントリーです。

この作品への好意や敬意をどうこの世に表したらいいのかわからなかったので、とりあえずわたしに出来ることとして文章にしました。

 

 

Flower art film "TWILIGHT'youtu.be

 

 

0:03 並んだ手の距離感が好き。これがもし触れたり繋がっていたりしたらまたこの後の物語の手触りが変わってしまっていた気がする。
有澤さんの手って指も長くて筋の感じがとても絵として映えるなといつも思う。長めの袖のかかり方が好き。

 

0:15 身体ごと少し相手の方に向いた後ろ姿。これが好きなのはその後を知ってしまっているからかもな
ここまでの風の音と鳥の声、光の柔らかさも好き。

 

0:17 振り向いた瞬間の何か言いかけみたいに口角の上がったところ

 

0:18 暗転と広い空間の音

 

0:21 溜息だよ
ここで初めて大きくカメラが引くところ。あっと驚くような手法というわけでもないのに、まんまと傷つく。
ここまでのカットは暗転含め全て2~3秒で切り替わっていたのに、このカットでいきなり7秒使ってる。
ピアノの音が途絶えてストリングスだけになるところ。

 

0:29 お花の色合い

ここから突然画面の揺れが目に付くようになって、初め手持ちに切り替わったのかな?と思ったけど見返したら0:09辺りも手持ちっぽいんだよね
多分被写体に動きがなくなったからだったんだろうな

 

0:34 白菊のアップ
台詞の無いこの作品においてここが抜かれるだけで説明になってしまうことを考えると、お花って思うよりも更に深く人の意識とか認識に根差してるんだなあ
そもそもの始まりが「教会」「並んだ男女」「射しこむ光」だけで状況説明が済んでいることもとてもスマートで好き。

 

0:36 ゾッとした

 

0:37 からの目だけで光の当たっている側から影の側へ見渡して、瞬きをして、一瞬唇を結ぶところ

 

0:43 睫毛なっが

 

0:45 スッと、ではなく少しずつ揺れるように視線が落ちるところ、吞み込むように喉が動くところ
これまで正面か真後ろ、少なくとも身体に対して左側が映るカットばかりだったのがここで完全に陽の当たらない側に移行するんだな

 

1:08 背が高いお陰で長い布のシルエットが本当に映えるよ いつも言ってるけど

 

1:20 ブーケだったのかなあ
ここと終盤で、お花の色の視覚的な刺さり方がまるで違う

 

1:31 あーーーーーー

繰り返すまばたきの度に黒目が揺れて光るところ
一筋だけ流れる涙
表情の無い泣き顔ってただ真顔に涙が乗るだけではないんだな
伏せる目線の動き
綺麗な涙袋
喉と口元の震え
しゃくり上げる時の(横隔膜が震える時の)肩の動き
拭う仕草

 

1:55 手のひらを置くまでの時間と指の震え、置いた瞬間の無音
箱の表面が白く反射して、お花と外部を完全に隔てているところ
撫でた手のひらが再び降りるところ

2:14 こんなに綺麗に顔への光の当たり方が分かれることあるんだな

 

2:19 この視点は誰のものなんだろうなあって考える
そこに跪くのはこの構図とシチュエーションのはずじゃなかったよなあとも
後ろ姿になってからのコンバスと不安定な高音。

 

2:38 引きの画面になった時の広がり……
この教会本当に素敵だな

 

2:44

 

2:45 窓側から振り向く

 

2:49 喉仏の動き

 

2:50 赤い揺らめき

 

2:52 光を透かして風で揺れる花
鮮やかで柔らかく見える色
ピアノの音

 

3:08 さっきのカットとの色合いの違い
表情が浮かんでないのと無表情なのは違うんだな

 

3:16 ピアノが最後に残って、
これ

 

3:27 光に向いた後ろ姿
"Starring Shotaro Arisawa"

 

 

 

 

 

 

今までに色々と出演作を観てきて、「有澤さんの演技が好きだ」と何度も実感したしそう言い続けてきたけど、「演技が上手い」とはあまり言ってこなかった気がする。技術的に不足や不満があるとかではなく、単にわたしが演劇に関してずぶの素人だから。

漠然と刺さる芝居とそうでない芝居、それをする役者がいることは感じるけど、どんな演技が上手いのか・特定の役者についての巧拙とかは未だに判別が付かない。それに関しての指導も教育も受けたことがないから、自分の好み以外の物差しがない。

 

ただ今回のTWILIGHTを見て真っ先に、この人って演技力があるんだなあ………と馬鹿みたいな感想を抱いた。それをどこがどうと言語化することはまだ出来ないし、してしまったら野暮な気もするけど。

これってきっと「有澤さんを映す作品」ではない。主題と主役があって、そこにある種媒介する装置として有澤さんという役者が用いられている。

真ん中が誰よりも似合うと思いつつ、主役の隣で様々に立ち位置を変える有澤さんが好きだから、そういうところがすごく魅力的に映ったのかもしれない。

 

本当に久しぶりに見た映像がこの作品で恵まれている。今回で言えばクリエイターだったり、ロケ地だったり、まだ知らなかった綺麗な世界に繋げてくれること。とても惹かれる作品にばかり出てくれるのって幸せ者だと思います。

 

 

美しくて、素敵な作品だな。と思いました。たくさんの人の目に留まっていくといいな。